すずというキャラクターは、どのように作られていったんでしょうか?

<U>の世界の中心にいる人気者が、現実でどんな人なのかを想像したときに、絶対に東京にはいない人だと思ったんですね。インターネットの中心と真反対の、自然がきれいな場所で、橋の上にぽつんと佇んでいるような、おとなしい女の子が実は華やかなベルの正体だというのが、すごく面白いと思ったんです。

僕は『美女と野獣』がすごく好きなんですけど、何が好きって野獣が好きなんですよね。暴力的な面がありながら、その内側には別の心があるという二面性が好きで。『美女と野獣』って、18世紀のフランスの話ですけど、「美女は美女」でしかなくて、もっと美女にも二面性があるんじゃないかと思ったんですよ。じゃあ現代における「美女」って何なのかを考えたときに、単純に顔やスタイルがいいということが美女ではない、と思ったんです。どういう風に生きて、いろんなことを乗り越えて、それを乗り越えた証が美女にさせる。守らないといけないものを絶対に守る、みたいな人が美女だと思ったんです。

最後のシーンで、すずが泥だらけで立ち向かう美しさを描いて、映画の帰結したところまでいったので、『美女と野獣』を現代にアップデートできたのかなと思いました。「現代にとっての美女とは何か?野獣とは何か?」を考えられるように、作品を切り口にして時代の変化を表現できるというのが、古典作品を扱ういいところですよね。

タイトルにもある「そばかす」のモチーフは、どこから着想を得たんでしょうか?

僕が小学校一年生の時、そばかすの女の子がいて、その子がとても可愛らしくて印象に残っていたんです。本人はそばかすが嫌だったみたいなんですけど、僕は全然そんな風に思っていなくて。そばかすって、昔の価値観においては、本人がコンプレックスに思っていたり、マイナスイメージがあったんですけど、時代が変化した今の時代は受け止め方も変わってきていて、一種のチャームポイントなんじゃないかなと思って、今回のモチーフにしました。

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インターネット空間<U>の構想とデザインについて

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映画『竜とそばかすの姫』細田守監督にインタビュー!“「美女と野獣」を現代にアップデートできた”と語る、本作の裏側をお届け

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Wakana Yamauchi

Wakana Yamauchi

兵庫県出身。京都の大学を卒業後、 編集者になるために名古屋へ。ゲーム、猫、ファッション、写真が好き。自宅をリノベーションして以来、インテリアにハマっている。

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