今作の主人公・すずの声優には、歌手の中村佳穂さんが抜擢されていますね。

中村さんはね、すごいですよ。表現力も歌もすごいし、経験がないのにお芝居の力もめちゃくちゃあって。歌とお芝居って、やっぱり相通じるところがあるんだなって思いましたね。

あと、中村さんがもっとすごいのは、ともすればアーティストイメージが崩れてしまうかもしれない声優としての演技にも、果敢に挑戦していく姿勢です。音楽家は、今まで自分が作ってきた、自分の世界を大事にしたいと思うじゃないですか。それで看板を掲げてやっているんだから。でも、中村さんは演じることを厭わないんです。jazzyで即興性にあふれた音楽性は、彼女の考え方や素質がそうさせるのかなと感じましたね。

この作品が中村佳穂と出会えたことは、ものすごく重要なことで、ビョークやレディー・ガガ、銀杏BOYZの峯田さん演じる映画は、それぞれすごくいい映画になっていますけど、そこに匹敵するくらい、自信をもっていい映画になったと言えますね。テイクはいっぱい重ねましたけど、もっともっと、と思わせる素晴らしい人でした。

監督と中村佳穂さんとの出会いを教えてください。

2年前、奈良の靴屋さんで折坂悠太くんとライブをやっていて、それが最初に生で見た中村佳穂でした。その当時は、「曲とか作ってくれたらいいなあ」とか、「詩を書いてくれたらいいなあ」とか、それくらいの感じだったんですよ。

それでオーディションが始まって、やっぱりちょっと引っかかっていたんで、中村さんを呼んでいざ台詞を読んでもらったら、「すごい!」ってことがそこで初めてわかったんですよ。それまでは、中村佳穂は面白いけど、中村佳穂的なすごい人がいたらいいなあと思っていたので、本人に頼むとは思ってなかったんですよね。これだけ新鮮で、すごい力の持ち主ってそういないですよ。彼女が正解です。

映画は出会い。その出会いや発見って、作り手にもお客さんにもあるんですよ。『時をかける少女』の仲里依紗さん、『サマーウォーズ』の桜庭ななみさん、『バケモノの子』の広瀬すずさんの時もそうですけど、中村佳穂さんも新しい発見でしたね。やっぱり映画って、発見が面白いんですよ。あと、幾田りらさん!またこの人がすごいんですよ。あれでお芝居の経験がゼロですからね。オーディションの時から面白いなあと思っていましたけど、実際にアフレコやってる時のほうがすごかったですね。底知れないポテンシャルを持っている。本当に上手いし、びっくりするぐらい表現力があるし、キャラクターを掴んでいるし…。こういう才能との出会いがあるから、映画は面白い。それがこの作品を通して伝わるといいなあ、と思います。

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すずというキャラクターはどのように作られたのか

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映画『竜とそばかすの姫』細田守監督にインタビュー!“「美女と野獣」を現代にアップデートできた”と語る、本作の裏側をお届け

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Wakana Yamauchi

Wakana Yamauchi

兵庫県出身。京都の大学を卒業後、 編集者になるために名古屋へ。ゲーム、猫、ファッション、写真が好き。自宅をリノベーションして以来、インテリアにハマっている。

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