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雨のパレード・ニューシングル『Ahead Ahead』福永浩平さんインタビュー
#音楽

2019.5.22wed

雨のパレード・ニューシングル『Ahead Ahead』福永浩平さんインタビュー

今年1月に是永亮祐(B)さんが脱退し、新体制となった雨のパレード。4月24日にリリースされた、ニューシングル『Ahead Ahead』にかけた想いを、ボーカルの福永浩平さんにインタビュー!

福永浩平(Vo) / 雨のパレード
2013年に雨のパレードを結成し、2016年にメジャーデビュー。インディR&B、エレクトロハウス、アンビエント、TRAPなど、エレクトロニック主体の現代ポップミュージックに刺激を受け、バンドという形態にこだわらないサウンドメイクで人気を集める。4月24日に『Ahead Ahead』をリリースし、第二章に突入した。

新体制初の音源となる、今回のシングル『Ahead Ahead』は、幕開けを飾るのにふさわしい、門出となる作品だなと感じました。今作の制作の背景を教えてください。

今回、プロデューサーの蔦谷好位置さんと一緒に楽曲を制作させていただくことになって、まず蔦谷さんに聴いてもらうためのデモ段階の曲を、3日間の合宿でダダッと20曲ほど用意しました。完全な楽曲の状態というよりは、1コーラスのアレンジを僕らで組んで、歌詞はついてないメロディみたいなものなんですが、そこから蔦谷さんの気になるものを選んでもらって作っていくというやり方で進めました。実際は、蔦谷さんのスタジオで直接やりとりして作っていったんですけど、その中で仮タイトル「アヘアへ」というのがありまして。

「アヘアへ」、ですか?(笑)

そうです(笑)最初は「アヘッド」じゃなくて、「アヘ」だったんですよね。ネタの段階では、もうちょっとオケがモードというか、スタイリッシュな感じだったんですけど、その中で、何となくアフリカの民族的な掛け声っぽいなあと思って、僕が半分ふざけて「アへ」って入れてて。それを蔦谷さんが「『アヘ』いいね!『Ahead』でいいんじゃない?」って提案してくれたんですよね。『Ahead』は「前へ」っていう意味で、自分たちの今の状況にもぴったりだなと。

そうだったんですか!後付けとは思えないくらいぴったりですね。

タイトルが決まってから、蔦谷さんも結構アレンジを変えてきたんで、その「前へ」っていうキーワードを軸に、また色んなことを加えてもらったのかなと思います。

タイトルが決まってから変わった部分というのは?

お送りしたデモの段階では、ビートや構成している楽器も全然違っていました。「四つ打ちにしてみるのはどうだろう」って蔦谷さんに言われたときに、単に四つ打ちにするのもなあと。ライブのインタールードでは使ってたんですけど、アフリカンビートを楽曲で使ってなかったなあと思って、蔦谷さんに言ったら「四つ打ちと合わせちゃえばいいんじゃない」と言われて、このようなビートになりましたね。


『Ahead Ahead』は、MVで福永さんが駆け抜けていくシーンが印象的で、「前へ前へ」という強い意志を感じました。リスナーへの前向きなメッセージであり、新体制になったバンドのリアルな心情でもあるのかなと。

そうですね。歌詞は今の自分たちの状況が大きく反映されています。歌詞にある「君を連れてこれからこの先へ」っていう気持ちがすごく強くて、それがみんなにも伝わるといいなと思って書きましたね。何があっても、また前へ踏み出せる気持ちになってほしいなと。

珍しく、歌詞を書き直したんですよね。最近はあんまり書き直したりしなかったんですけど。というのも、今まではレコーディングに向けて作って、レコーディングが終わってからミックスを考えていたのが、ベースの脱退で必然的にパソコンに向かってやることになって。そうなると、レコーディングの前に詰められる作業が結構あって、その中の一つが歌詞だったので。最初あった歌詞も、それはそれで気に入ってる形だったんですけど、蔦谷さんに「言葉尻を合わせるだけでも、全体のグルーブ感が出てくるよ」とアドバイスをいただいて、確かになと思って。昔は1番のAメロと2番のAメロを同じような歌詞にしたりとか、曲を作り始めたときは、そういえばそういうことしてたなと思って。最近は中身のことばっか考えて、わりと文章を乗せてるような感覚だったなと。今回は韻を踏むことや、分かりやすさを意識して、2~3度書き直しましたね。何度もディレクターに「これはどういう意味?」と聞かれたりとか(笑)

これ、言っていいのかわからないんですけど、今回の僕の裏テーマで「大人の言うことを聞く」っていうのがあって。今までカウンター精神でやってきていたので、今のディレクターや蔦谷さんもすごく信頼できる人で、学べることが多いなと。今回は全力でリクエストに応えようと、色々やりましたね。

今回の作品はそういった意味でも、新しい気持ちで臨んだというわけですね。

そうですね。僕は結構、楽曲だけではなくて、スタイリングにも口を出すタイプなんですけど、今回は委ねてみたいなと思って。スタイリストさんに楽曲を聴いてもらって、選んでもらいました。僕的には最初、衣装はディープトーンのイメージかなと思ってたんですけど、ペールトーンに決まったりとか。ロケ地もその人が出してくれたところで、楽曲にめちゃくちゃぴったりで、さすがだなと思いました。

蔦谷さんにプロデュースをお願いした経緯は?

これまでは完全に自分たちでやってきたんですけど、プロデューサーにお願いすることを嫌厭してたわけじゃなくて、いつかやってみたいと思っていました。それで今、この体制になって、ベストなタイミングだったと思います。すげー初期のインディーズの頃なんですけど、メンバー間の雑談で「僕らの曲って、例えば椎名林檎さんが歌うと違和感あるけど、YUKIちゃんが歌うと違和感ないよね」みたいな話をしてて。その時から心のどこかで、何となく蔦谷さんとやってみたい気持ちがあって。

以前から共作したかった方と、念願の!ということですね。

そうです。とはいえ、やっぱり自分たちの今までやってきたものがあったりとか、こだわりが強いほうなので、最初は気を張っていましたね。ただ、細かい作業をやっていく上で、蔦谷さんの選択する答えに、すごく近いものを感じて。この人は信頼できる人なんだなと思いましたし、やっぱりセンスがすごい良くて。色んな刺激をもらいましたね。

セルフプロデュースでやっている時にはない、新しい考え方もありましたか?

そうですね。作り方も全然違うので。今まではスタジオに入って、セッションで構築していくやり方で作っていました。そのやり方は、一番早いからという理由が大きかったですね。必ずしも悪いことではないんですけど、そうして作るとどうしても手の本数しか楽器を重ねられなくて。メンバーの脱退で、必然的にセッションで作ることができなくなって、パソコンに向かわないといけなくなった状況で、今回タイミングよく蔦谷さんとご一緒することになって、本当に先生のように色々と教えていただきました。僕らが盗める範囲のことは盗んだつもりです。それがカップリングに生かせていたらいいなと。

他のインタビューで、「バンドサウンドにはこだわっていない」という福永さんのコメントを拝見したんですが、今回デスクトップで制作するようになって、音作りもかなり変わってきたんでしょうか?

ハードウェアで出せる音の範囲というのもかなり幅が広くて、デジタルのシンセとアナログのシンセももちろんあったし、ギターもベースも、サンプリングパットもあったので、ハンドクラップを入れたりしてR&Bの感じを出したりとかは、今までもできたはできたんですけど、やっぱりパソコン上の処理でしか出来ないアプローチがあって。例えばサイドチェインっていう効果だと、バスドラが鳴った時に、弾いてるシンセのボリュームがコンプでちょっと下がるみたいな、音源上は再現できてたものの、セッションの状態でやるのは難しい状況があって、そういうのも挑戦できるようになったりとか。

ライブに関していうと、ライブでもその音が再現できるようになりましたね。今までは、ライブで同期を使わず、完全に手弾きの状態でした。クリックすら聴いてない、めちゃくちゃアナログバンドだったんです(笑)それで、ベースが抜けたので、サポートを入れるよりも、3人で最初はやりたいなと思って。同期を使うことに対して抵抗もなかったですし、ベースを流すとともに、今まで出せてなかった音をライブで出せるようになりました。

メンバーの脱退で人数自体は減ったけど、同期を取り入れたことで音の自由度は増しているような感じでしょうか?

そうですね。例えば『Count me out』は、先ほどのサイドチェイン効果をより強く出して、ライブバージョンでやってみたりとか。『You』は、セクションによっては僕のコーラスが14人分入ってたりするんですね。それが今までなかったので、だいぶライブの印象も変わったりとか、僕らも新鮮なことが多くて。ライブアレンジも好きで、原曲からかなり変えてやったりするんですけど、それも表現の幅が広がりました。この間のリリースパーティーの時にやった『Hwyl』は、かなり付け足して、少しダンサブルな曲に仕上げてみたりとか。最初、構築するのは大変でしたけど、今は楽しめてますね。


雨のパレードさんの作る曲は、以前からどの曲もすごく緻密に作られているイメージがあったんですが、この2曲目の『/eɔː/』は、さらに繊細な楽曲になっているように感じました。この曲についてはいかがでしょうか?

レコーディングをしてから色々考えていたものが、パソコンに向かうことによって、レコーディング前にかなり詰めれるようになったのが大きいですね。あとこの曲、実は初めて僕がデモ音源を作りまして。面倒くさがりなんで、今までデモを作ったことがなくて。今回、蔦谷さんに、気になるソフトウェアの音源だったりとか、フィルターはどこのプラグインを使っているとか色々教えてもらって、ちょいちょい盗んでしまったので、それが楽しくて(笑)自宅で一人でガーッと作ったものをメンバーに聞かせて、そこから「低音が足りないね」とか「ビートの音色変えたいね」とか変えていって、そうして作った初の曲って感じです。

僕としては、表現の仕方が変わってるから、また新たな一面を見せていきたいですね。洋楽の新譜が好きなんですけど、その時は、オーストリアのエレクトロユニット・HVOBをかなり意識したりとか、Four Tetの『New Energy』というアルバムで使われている、民族的な楽器の音色とか、使ってみたい音色を見つけたり。あと後半にかけてリバースのギターを入れていきたいなとか。それはアイスランド的な感じでいいなと思ってたんですけど、それを入れてもらったりしていると、やっぱり雨のパレードっぽくなっちゃったなっていう(笑)何をしても僕らになれるんだなって、再認識した曲ですね。

デモは初めてということでしたが、苦ではないんですね。

音作りに関してはものすごく好きなので、楽しめて作れましたね。僕はやっぱり、歌詞が大変で。『/eɔː/』に関しても、全然文字数はないんですけど、『Ahead Ahead』くらい時間かかっちゃって。それは『/eɔː/』のテーマが「鏡花水月」っていう、詩とかを読んだときに言葉にできないような感覚に襲われるみたいな、水面に浮かぶ月には手を伸ばしても触れられない、みたいな意味の言葉なんですけど、僕らの楽曲って、ずっとそういうつもりで作ってきていたような気がして。僕らの曲を聴いて、何とも言えない感覚に襲われてほしいなと思って作ってて、それをより強く出してみたいと思ったのがこの曲です。

後半はリミックスの楽曲が3つ続きますね。『Hwyl』や『Reason of Black Color』は、ほかのインタビューで、福永さん自身もかなり気に入っていた曲だと拝見しましたが、改めて他の方のリミックスでどういった印象を受けましたか?

やられてる側としては、ものすごく楽しくて!自分たちの好きな人たちに、自分たちの曲を再構築してもらうっていうのは、すごいウキウキして、聴くときも楽しみでしたね。特に小林うてなさんは、日頃から大好きで。初めてソロライブを見たときに、日本のエレクトロで一番好きかもと思うくらいの衝撃を受けました。共有の知人も多くて、よく行くコーヒーショップが一緒だったりとかもして、そこで話したりはしてたんですけど、共通の知人の結婚式の時も一緒にいて、二次会で「リミックスをお願いしたい」と言ったところ快く受けてくれて、それでやっていただけることになりましたね。メッセージで「思いっきりやってくださいね」って送ったときには、もう完成してたみたいで(笑)「ごめん!ポップな感じにしちゃった」と言われて、ポップかあ…どういうポップさだろうと思ったら、いいポップでしたね。

最後の曲のリミックスをやってもらった、荘子itも友達で。DATSのもんじょう(杉本亘)とすごい仲が良いんですけど、そいつの同級生で。もんじょうん家で飯食ったりとか、どこかしらでよく会ってて。ディレクターに「誰かいい人いない?」と聞かれたときに、荘子itにやってもらおうってなって。レーベルの先輩のNeetzさんだけ、面識がなかったです。


「Hometown feat.Tabuzombie(from SOIL&”PIMP”SESSIONS)」は、思いっきりDos Monosさんですね。ラップがハマっていてびっくりしました。ヒップホップやエレクトロニックのシーンで活躍する方たちとの共作のきっかけは?

あれは曲のセレクトが良かったですね!きっかけは、ディレクターからリミックスをやってみようって話があって。今まで入れる隙がなかったんですけど、今回初めてやってみて、楽しかったですね。

第二章に向けて、今後挑戦したいことや心意気を聞かせてください。

今は、ライブの再構築と、新曲作りを楽しんでやっています。実はアルバムに向けてたくさん曲を作ってたんですけど、それは4人のセッションでのやり方だったので、そこを今のスキルで見直してみたいと思っています。僕の中では、かなり好みの曲がそろっていて。あとはライブのリアレンジも好きなので、ライブならではのものをみなさんに聴かせられたらと思います。

新曲を出す予定はありますか?

夏ごろに新曲を出します!珍しく、夏の曲を描いたんですよ。『Ahead Ahead』のMVをグアムで撮影したんですけど、その時に新曲もできていて、一緒にMVも撮ってきてて。すごくいい感じですね。あと、ライブでは少し前からやっている『trust』っていう曲も、「東京・大阪・名古屋医療専門職大学(仮称)」のCMでソングになっています。今作っている新曲も、いいタイミングで出せたらと思いますので、楽しみにしていてください!

雨のパレード
New Single『Ahead Ahead』
2019.04.24 release

初回限定盤(CD+DVD):VIZL-1559 / 2400円+tax
通常盤(CD):VICL-37468 / 1200円+tax

 

◉CD(初回限定盤 / 通常盤共通)
01. Ahead Ahead
02. /eɔː/
03. Hwyl [Remixed by Neetz]
04. Reason of Black Color [Remixed by Utena Kobayashi]
05. Hometown feat. TABU ZOMBIE (from SOIL&”PIMP”SESSIONS) [Remixed by 荘子it feat. Dos Monos]

 

◉初回限定盤付属DVD
ame_no_parade Oneman Tour 2018 “COLORS”
Live at TOKYO – HIBIYA KOUEN DAI-ONGAKUDOU 2018.4.21
1.You & I / 2.Dive / 3.Horizon / 4.Tokyo / 5.new place / 6.Petrichor / 7.Shoes / 8.(soda) / 9.H.Apartment (Acoustic) / 10.You(Acoustic) / 11.Reason of Black Color / 12.Hwyl / 13.Hometown feat. TABU ZOMBIE (from SOIL&“PIMP”SESSIONS) / 14.ice feat. TABU ZOMBIE (from SOIL&“PIMP”SESSIONS) / 15.GOLD / 16.Change your mind / 17.epoch / 18.Count me out / 19.MARCH / 20.What’s your name?

 

Music Video (Exclusive)
「Count me out」、「Take my hand」

 

「雨のパレード」公式サイト
http://amenoparade.com/index.html

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雨のパレード・ニューシングル『Ahead Ahead』福永浩平さんインタビュー

WRITER

Wakana Yamauchi

Wakana Yamauchi

兵庫県出身。京都の大学を卒業後、 編集者になるために名古屋へ。ゲーム、猫、ファッション、写真が好き。自宅をリノベーションして以来、インテリアにハマっている。

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