【インタビュー】マハラージャンさん「自分の中で一番大事な曲になった」EP『蝉ダンスフロア』をリリース!
#インタビュー

2023.8.19sat

【インタビュー】マハラージャンさん「自分の中で一番大事な曲になった」EP『蝉ダンスフロア』をリリース!

2023年7月14日(金)、シンガーソングライターとして活動するマハラージャンさんがEP『蝉ダンスフロア』をリリースしました。

なんといっても、スーツ姿にターバンを巻いた独特のビジュアルが特徴的なマハラージャンさん。ユーモアあふれるリリックと、ソウルやファンクといったブラックミュージックから現代的なエレクトロサウンドまで取り入れた、新感覚なサウンドが話題を呼んでいます。

今回、「蝉ダンスフロア」の制作エピソードや曲へのこだわりをはじめ、収録曲である「波際のハチ公」、国際サイクルロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2023」の公式テーマソングにも選ばれた「DREAM」の2曲についても、たっぷりお話を伺いました。

PROFILE

マハラージャン
東京都出身の男性ソロ・ミュージシャン。大学院卒業後、CM制作会社へ就職。会社員として勤務する傍ら、日夜音楽活動に勤しみ、2019年11月にEP『いいことがしたい』をデジタルリリース。2021年3月の時点では会社を辞め、マハラージャンとしての活動に専念。音楽番組や人気YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」への出演が大きな反響を呼んだ。

「蝉ダンスフロア」は一番大事な曲に

――『蝉ダンスフロア』EPリリースおめでとうございます。今回のEPは、それぞれ違った色を持った楽曲が収録されていると感じたのですが、アルバム全体としてのコンセプトはありますか?

全体としてのコンセプトはあんまり決めてなかったんですが、結果として“夏”を表現できたアルバムになったと思います。「蝉ダンスフロア」が自分の中で一番大事な曲になったと感じていて、そういう曲を作ることができたのがまず嬉しいですね。これが出せたらもう良い!ってくらいです。

――「蝉ダンスフロア」は、ご自身の原点のような曲だとお聞きしました。

そうですね。今回この曲で、アナログシンセサイザーを使用したのですが、僕、アナログシンセの音色が本当に大好きで。大好きってことに気付いたのも徐々にだったんですけど。自分でアナログシンセを購入して、実際に演奏して、“めっちゃ最高!”って思って。どうしてもこれを使った曲を作りたいなっていう思いが高まっていきました。それで今回、この曲を作ることができました。

――マハラージャンさんがそこまで愛してやまないアナログシンセの魅力は、ズバリどういったところでしょうか?

やっぱり、音ですね。ズバリ、この圧倒的に存在感のある、一聴してカッコいい音。デジタルシンセも魅力的ですが、アナログシンセは圧倒的にタイプなんです。ぜひ、皆さんにこの魅力を知ってほしいです。

わかりやすいところで言うと、『まんが日本昔ばなし』のエンディング曲である「にんげんっていいな」の冒頭部分もアナログシンセなんですよ。あれって、めちゃくちゃかっこいい音してるんですよ、実は。実はあの曲にもこの曲にもアナログシンセが潜んでいて…って言いだしたらキリがないくらい(笑)。とにかく好きなんです。

――そのアナログシンセの魅力を「蝉ダンスフロア」でどのように取り入れましたか?

曲の頭でアナログシンセの音が“ブゥン”って入るんですけど、あれ一つだけ聴いても、やっぱりアナログシンセって最高だなって思います。あれは「オーバーハイム OB-X8」っていう最新のシンセを使った音なんです。アナログシンセって、80年代くらいに最盛期を迎えて盛り上がっていたものなので、若干、音にレトロ感があるというか。それがすごいく好きな理由の一つではありますね。

僕としては、アナログシンセを使って昔っぽい曲を作りたいというより、現代のものに取り入れていきたいという気持ちがあって。この「オーバーハイム OB-X8」は、アナログシンセだけどあまり古く感じさせない音色で、それがすごく気に入っています。

セミの一生をコロナ禍と照らし合わせた

――歌詞は「コロナ禍」をセミに例えているとか。そう聞くと、“セミ”にも共通点を感じる部分があって不思議な気持ちでした。この楽曲を制作しようと思ったきっかけはなんですか?

仮歌の段階でサビの「蝉ダンスフロア」の部分はできていたんです。実は全体のコンセプトの話にも繋がるのですが、普段の僕の作曲の仕方に訳があって。一回、頭の中を空にして適当に歌って、そこに“こういう歌詞にしていこうかな”って感じで歌詞を乗せていくんです。「蝉ダンスフロア」でいうと、「蝉ダンスフロア」っていう音ができたときに“セミの話にいこうかな”ってなって、そこから考えていきましたね。そしたら、セミが地上に飛び立つ日を土の中で待っているように、僕たちも3年間コロナ禍で苦しい閉じこもった生活をしていたよなって。あと、セミの一生もそうなんですけど、人間も7月が始まったと思ったらもう終わってたり、すごく一瞬で時間って過ぎていくじゃないですか。「命短し恋せよ乙女」じゃないですけど、一瞬一瞬を逃さないように謳歌したい、しないといけないっていう気持ちがあったので、それを表現しました。

――セミの性質とコロナ禍を掛け合わせるっていう着眼点、それをしっかりマハラージャンさんならではの音楽で表現できているのも素敵です。少し話していただきましたが、マハラージャンさんの作曲方法をより具体的に教えていただけますでしょうか。

表現が難しいのですが“適当に歌う”っていうのが結構肝でして。“ラララ”って歌ってしまうと、もう“ラララ”なんですよ。じゃなくて、なんかこう、本当に適当に歌うっていう。僕も適当に歌うモードに入らないと、なかなか歌えないんです(笑)。それで、歌ってみると、出てくる歌詞が意味わかんないんですけど面白かったりする。そこで出てきたものを大事にしていますね。

――適当に歌っている段階で「セミ」などのワードも出てきたりするんですか?

そうですそうです。それこそセミとか、ダンスフロアとか。普段だったら掛け合わせない言葉の組み合わせが出てきたりして、面白いんですよ。

――色々考えてしまって、“適当”にするには結構難しいですね…。

そうですね。でもハードル高いと思いきや、勝手に口がそういうモードに入っていく瞬間があるっていうか。恥ずかしがらずに適当に歌ってみることがポイントです。

頭の中に夏の景色が広がってつくった「波際のハチ公」

――「波際のハチ公」は爽やかなテイストで、まさに夏にぴったりな曲だと思いました。こういった季節感のある曲は、これまでのマハラージャンさんの楽曲になかったと思うのですが、どのようなコンセプトで制作されましたか?

ただただ、夏にぴったりな、爽やかな曲を作りたいという一心で。去年の真冬の2月ぐらいに考え始めて、頭の中にすごい夏の景色を広げて作りました。

――「ハチ公」は、かの有名な飼い主の帰りを待ち続ける忠犬のことを指していると思うのですが、“夏を待ち焦がれている”という気持ちで?

そのあたりは結構ぼやっとさせてるんですけど、何かを波際で待っていて何かが来た。憧れの人かもしれないし、待ち焦がれていた何かかもしれないしっていう。これも本当に適当に歌って作った曲なので、それぞれの解釈で受け取っていただければと思います。

――「蝉ダンスフロア」や「波際のハチ公」もそうですが、マハラージャンさんならではの独特なワードセンスや耳に残るフレーズは、どこからインスピレーションを受けているのでしょうか?

日常の中で印象に残ったものや面白いなって思ったものは大事にしていますね。何が面白いか面白くないかを考える癖がずっとついていたっていうのもあると思います。それも、CM制作の現場で働いていた経験が大きいなって、最近すごく感じていて。CMって、おいしい瞬間をピックアップしていくというか、チョイスする能力が必要なんです。そういう能力とか、“何が面白いか”の基準とか、そういうのが現場を通して鍛えられたなと思います。

ロードレースという競技と“夢”の共通点を歌に

――「DREAM」は、これまでの楽曲とまた違う印象で、個人的に一番好きな楽曲でした。“夢”がテーマになっていると思うのですが、楽曲に込めた思いをお聞かせください。

ありがとうございます。去年の全国ツアーのタイトルが「夢」だったんですが、これまでふざけた曲名をつけることが多かったので、逆にあえてそういう名前にしてみたら面白いかも、みたいな軽い気持ちで付けたんです。それで実際、ツアーを回ってみたらすごく“夢”について考える機会があって。それで曲も作ってみようかな、と思って作り始めました。

この曲が、国際サイクルロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2023」の公式テーマソングにも選ばれたので、ロードレースの競技と“夢”を組み合わせました。“夢”にもリレーみたいなところがあると思っていて、自分もこういう風に音楽をやれているんですが、かつて自分が憧れていた職業だったわけで。もしかしたら、僕を通してやってみたいと思う人もいるかもしれない。そういう繰り返しがリレーみたいだと思ったんです。サイクルロードレースもチーム戦なんですが、チームの中の一人をゴールさせるために、残りの仲間が風よけになったり、自己犠牲の精神のある競技で。ゴールという一つの目標、夢に向かって、実際にはバトンを持っているわけじゃないんですけど、気持ち的な部分で繋いでいく。そういうものを曲に表現しました。

――社会人生活を経て、現在は音楽1本で活動しているマハラージャンさんだからこその説得力というか、たくさんの人の心に響く歌詞になっていると思いました。また、この楽曲では、九州の景色もイメージされたそうですね。

僕、九州を一人旅したことがあって。そのとき、特に阿蘇山は、車で運転していてすごく気持ちよかったんです。この大会のプロモーション映像の景色もすごく綺麗で。そういう風景や景色を見て思い出しながら、合う音楽を作っていく感覚で作りました。

――九州の旅での思い出で印象深かったことはなんですか?

鹿児島の高速道路に入ったときに、車のフロントガラスにべちゃべちゃべちゃって虫がくっついて、それが思い出です。

――えぇ…(笑)。

(笑)。他には…僕、モンスターハンターシリーズが好きで。桜島がモンハンの舞台なんですけど、なんかもう実際に見てみると、龍とか飛んでないのに太古の景色に見えるっていうか。桜島の山から少し煙が出ていて、噴火している感じとかが、CGを入れたりして映像を撮ったら面白そうとか考えて、とてもインスピレーションを受けましたね。

音楽的な奇跡を起こしたい

――また、今年11月からワンマンツアー「奇跡」が開催されますが、意気込みをお願いいたします。

音楽的な奇跡を起こしたいっていうのが、まず第一です。とにかく僕は音楽が大好きなので。今回もバンドセットで、いつものメンバーとライブをやらせていただくんですけど、奇跡的な演奏ができたらなと思っています。ライブに行くとバンドですごいかっこいい瞬間に出合えたりすると思うんですが、そういう瞬間をとにかく起こしたいっていう気持ちです。

――22日(水)は名古屋でのライブがありますが、名古屋にはどのようなイメージがありますか?

名古屋にはなんか僕、友達多いんですよね。大阪でしばらく暮らしていたこともあって、ほら名古屋って東京と大阪の間じゃないですか。だから、感覚が近かったりして、そういうのも関係あるのかなって思いますね。全然、僕が思ってるだけの持論なんですけど。

――名古屋の人にはどのようなイメージがありますか?

そうですね…。友達なのに、ライブに来てくれない。

――あれれ…(笑)。

そうなんです。一回も来てくれないんです。

――もしかしたら、22日は来てくれるかもしれないですね。

そうですね。去年来てくれてないから、今年どうなのかなって思ってるんですけど、もしかしたら“奇跡”起きるかもしれないですよね。

――ぜひ、名古屋のご友人の皆様、観に来てあげてください。最後に、ファンの皆様に一言お願いします!

そうですね。あのー、僕、水シャワーをよく浴びるんです。夏にクーラーをつけなくても、水シャワーさえ浴びれば涼しくなれるし、汗や臭いも取れますので、水シャワー、オススメです。

――以上で大丈夫ですか?(笑)

ライブあるのでよろしくお願いいたします、だと面白くないと思うので。あとは、えーっと、名古屋の「あつた蓬莱軒」はすごく並ぶので、ちゃんと時間を確保してください。

――「あつた蓬莱軒」は行ったことがあるんですか?

それが行ったことないんです。周りにさんざんおいしいって聞かされてるんですけど、ずっと行けてなくて。ずっと頭の中に残ってます。

――(笑)。それはぜひ食べてほしいです。

あと、僕、最近、鉄のフライパンを買ったんですけど。それで料理してるんですが、もう全然味が違うんですよ。本当においしくなるんですよ。若干手入れは面倒くさいんですけど、オススメです。

――有意義な情報、たくさんありがとうございました!(笑)

デジタルEP『蝉ダンスフロア』
2023年7月14日(金)リリース

収録曲
1. 蝉ダンスフロア
2. 波際のハチ公
3. DREAM
4. 噂のキャンディ
5. 雑菌フィーバー

マハラージャン LIVE TOUR「奇跡」
11月5日(日)北海道・札幌ペニーレーン24
11月22日(水)愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
11月28日(火)大阪・心斎橋BIG CAT
12月7日(木)福岡・DRUM LOGOS

公式サイト
https://maharajan.love/

撮影/辻瑞稀(@sipruixi
※掲載内容は2023年8月時点の情報です

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WRITER

Eri Kimura

Eri Kimura

三重県出身。学生時代は、読書や映画鑑賞、バンド活動に、アパレル店員として働くなど多趣味全開で奔走。現在は新人編集者として奮闘中!

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